芸能人・千原せいじさんが「僧侶になった」というニュースを目にしたとき、私は思わず目を見張りました。芸人さんとしての活躍はもちろん、人情味あふれるトークでも知られる方。そのせいじさんが、なぜ今、仏の道へ?
私は60年余り続く仏壇屋を継いだ2代目の店主として、日々「供養」や「祈り」に関わっています。その立場から、せいじさんの僧侶としての歩みを知ったとき、とても深い思いを抱かずにはいられませんでした。
このブログでは、千原せいじさんがなぜ突然僧侶を志したのか、ペットが人間と同じお墓に入れない宗教的な理由、そして彼が思い描く未来の展望までをまとめました。仏壇屋として、また一人の人間として、この話題に向き合ってみたいと思います。
なぜ突然、千原せいじさんが僧侶に?
せいじさんが僧侶になった理由は、とても“せいじさんらしい”温かいものでした。
ある日、交通事故で亡くなったペットが道路脇にそのまま放置されていたのを目にしたそうです。そのとき彼は「動物は人間のようにちゃんと供養してもらえない。これってあまりに可哀想や」と強く心を動かされたと語っています。
命の重さに区別はあるのか。人も動物も、最期には敬意と愛を持って送りたい――その想いが、彼を仏門に向かわせました。
ペットが人間のお墓に入れない宗教的な理由とは?
日本の仏教では、ペットと人間が同じお墓に入ることには宗教的な制約があります。
仏教の教えでは、人と動物は「六道(ろくどう)」という生死の輪廻の中で異なる世界に生きているとされ、それぞれの魂がたどる道も違うと考えられています。
また、伝統的なお墓は「先祖供養の場」であり、人間の霊を祀るための空間です。そのため、ペットと一緒に埋葬することに抵抗を感じる方も少なくありません。
ただ、近年では「家族同然の存在」としてペットの供養を希望する声も増えており、宗派や寺院によっては柔軟な対応をするところも出てきています。
将来的に叶えたいせいじさんの夢
せいじさんが思い描くのは、島を丸ごと一つ買い取り、そこに“ペット専用の供養墓地”を作ることだそうです。人間と同じように動物たちの魂を丁寧に供養できる聖地を目指しており、「人も動物も分け隔てなく、感謝と愛で送りたい」という熱意が伝わってきます。
「島を買う」というスケールの大きな構想に、芸人としての破天荒さを感じつつも、それを本気で実現しようとしている誠実さには胸を打たれました。
どの宗派の僧侶になったのか?
せいじさんが得度したのは「天台宗(てんだいしゅう)」です。
天台宗は比叡山延暦寺を本山とする伝統ある宗派で、「すべての生きとし生けるものに仏性あり」と説く教えを持ちます。せいじさんが動物の命も大切にしたいと思った原点と、この教えは深く通じているように思います。
仏壇屋の主人として伝えたいこと
千原せいじさんへ。
あなたが僧侶になるという選択をされたこと、心から敬意を表します。動物の命を見つめ、「供養がされないことが可哀想」と感じた心の優しさが、今の日本に必要な“まなざし”だと感じました。
供養とは、形だけの儀式ではなく、亡き命に「ありがとう」と伝えるための行為だと私は思います。
人も動物も、その思いに違いはありません。
いつの日か、あなたが描く「ペットたちのための島」が現実になることを、仏壇屋の一人として、また同じく“供養”に携わる者として応援しています。
そして、願わくばその島に、日本中の人が安心して大切な存在を託せる場所が育ちますように。
この記事を読んでくださった皆さまへ
もし、あなたのそばに愛するペットがいるなら、生きている今こそ感謝を伝えてください。そして、旅立ちのときが来たときは、温かく送り出してあげてくださいね。
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